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君と一緒だから。
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初めて見た空の顔は、女の子かと見紛うほど幼くて可愛らしい顔立ちだった。
 
中でも、透き通るように鮮やかな空色の瞳に、俺は思わず目を奪われていた。
 
 
 
 
 
「ぉ…」
 
「おい、お前達!何があったんだ!?」
 
 
大丈夫か、と声をかけようと口を開きかけた瞬間、担任が血相をかえて教室に飛び込んで来た。
 
すぐに血を流す空を見つけて、保健室へと連れていく。
 
 
 
「瀬田君も来なさい!」
 
 
おそらく西藤か、その仲間が先生に報告したのだろう。西藤を殴った俺も呼ばれ保健室へ向かった。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
保健室では西藤が頬に氷水の袋をあてられていて、俺達が入室すると嫌々しい視線をこちらに投げ付けてきた。
 
西藤の仲間達は教室に帰され、空は左手に包帯を巻かれた。
 
 
 
 
 
それから場所を教員用の会議室に移され、一列に座らせられる。担任は机を挟んだ向かい側に腰掛けた。
 
 
 
「瀬田君、なんで西藤君を殴ったのか説明してもらえるかな?」
 
 
まず始めにされた問いに俺は唖然とした。
 
殴ったのは行き過ぎかもしれない。が、それを踏まえた上でも、殴った理由なんて空の左手を見れば一目瞭然。
 
それなのに、なぜ聞いてくるのか…、俺には理解の出来ない事だった。
 
 
 
「西藤が、高井の手を切って…」
 
「西藤君が?そんな筈ないだろう?」
 
 
仕方なく説明をすれば、担任は驚いた顔をして俺の答えを否定した。
 
 
 
「高井君の手は自分で切ったんだろう?どうして瀬田君はそんな嘘をつくんだい?」
 
「は…?なに、言って…」
 
「そうだよ、瀬田。なんで嘘つくんだよ、俺が何かしたか?」
 
「お前っ…カッターで切っただろ!自分がやったこと分かってるのか!?」
 
「だぁーから、俺は何にもしてないって」
 
「高井君、その傷は自分でやったんだよね?西藤君がやったんじゃないよね?」
 
「先生っ!」
 
 
俺がなんと言おうと、二人は気味の悪い笑みを張り付け、問答無用で話を進めた。
 
いくらなんでも、こんな怪我を負わされては空も黙っていないだろうと、自分の意見が聞き入れられない以上、あとは空の勇気にかけるしかないと一縷の望みを抱き、なかなか口を開かない空に目をやった。
 
 
 
「僕……、自分で、切りました…」
 
 
しかし、空は何の反論もせず、小さく頷いただけだった。
 
 
 
「ほら、高井君は自分でやったって言ってるじゃないか。もう理由はいいから、瀬田君は早く西藤君に謝って許してもらいなさい」
 
「そーだぞ!痛かったんだからな、早く謝れっ!」
 
 
西藤を疑いもせず空の言い分をあっさり認め、そして俺を責める担任。どこか違和感のあるやり取りだった。
 
 
無くならないイジメ、西藤をかばう担任。
ようやく、ずっと感じていた不快感の正体が分かった。
 
担任は、イジメの件で事を荒立てたくないんじゃない。何もなかった事にしようとしている。
 
 
空の敵は、西藤だけではなかった。
 
 
 
 
 

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あきゅろす。
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