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君と一緒だから。
星屑の跡
 
 
 
 
 
これは、空が一番辛かったと思っている、思い出したくもない最低最悪の過去の話。
 
俺と西藤だけが知る、本当の空の話…。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
小学1年生の頃から、周囲の噂で同学年に外国人がいると聞いていた。時々、廊下で金髪を見かけることもあった。
 
けれどクラスも違い、何の接点もなかった俺は、その時まで全く関心を持っていなかった。
 
 
 
 
 
初めてその外国人…空を間近で見たのが、4年生の始業式の日。
 
 
同じクラスになった空は、ふわりと緩いウェーブのある淡い金髪、色白の肌に、華奢で小柄な体をしていた。
 
ずっと俯いていて顔はよく分からなかったが、綺麗な金髪だな…と、今思えばその時にはすでに空に惹かれていたんだと思う。
 
 
俺を含めて初めて空を見た奴は、目の前の外国人を喜々として見入った。空を知っているらしい奴らは、なぜかひそひそと陰口を叩く。
 
なぜそんな陰湿な態度をとるのかと奇妙に思っていたが、間もなくその理由が分かった。
 
 
 
 
 
同じクラス内でグループを作っていた奴らが、ぞろぞろと空の周りに集まる。そいつらは明るい笑顔を浮かべているものの、どこか嫌な雰囲気をまとっていた。
 
 
 
「よお、オカマ。また同じクラスだな!」
 
 
そのグループのリーダーで、最初に空に声をかけたのが西藤だった。
 
西藤は空の肩に腕を回し汚い笑みを浮かべる。友人と思われる仲間達はその様子をククッと笑いながら空を取り囲んでいた。
 
 
 
「う、ん…」
 
 
と、顔色悪く、か細い声で頷く空。
 
笑顔がないどころか、情けなく眉尻を垂れ下げ、小さく縮こまっている。
 
 
また一年よろしくなっ、と西藤はぽんと肩を叩いて立ち去る。明らかに親しい友人とは違う雰囲気だった。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
それから一週間もすれば、空と西藤達の関係は理解できた。
 
 
空のあだ名は“オカマ”。
 
西藤達は空の文房具や体操服を隠したり、足を踏んだり、手を抓ったり…。
 
そのいかにもガキ臭い嫌がらせを、先生の目に入らないようコソコソと実行する。
 
 
空も少しは抵抗すれば良いのに、いつから始まったイジメなのか、諦めたように完全にされるがままの泣き寝入り状態。
 
空が苦痛に歪んだ顔をするたび、西藤は仲間と一緒にほくそ笑んでいた。
 
 
クラスの奴らは誰もかれも見て見ぬフリ。
 
関わればとばっちりを受けるから避けているのか、はたまた空が苦しむ姿を遠目から楽しんでいるのか…。
 
西藤またやってるー、と陰でクスクスと笑っている奴らもいた。
 
 

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