君と一緒だから。
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本当はね、ずっと一緒にいたいよ。
けど、このままじゃ俺は知らない事に怯えて緊張して、瀬田と今までみたいに穏やかに過ごす事が出来ないんじゃないかって。
瀬田といる事が苦痛になるのだけは、絶対に嫌だから。
だから、ちょっとだけ、
勉強する時間が欲しい。
瀬田が望む事を、少しずつでも受け入れていけるように。瀬田の恋人として堂々としていれるように。
少しだけ、大人になって戻ってくるから。
エッチな事を勉強してきます。
…なんて、そんな事、
口が裂けても言えないけど。
「ほら、明日からテストでしょ?」
という訳で、立前はテスト勉強って事で。
「もう高校生だし、瀬田に頼ってる訳にはいかないから。今回は自力で勉強してみたいの」
「空がそうしたいなら良いんじゃないか」
俺の意図を知ってか知らずか…、瀬田は快く承諾してくれた。
あっさり過ぎて、ちょっと寂しいけど…。
「昼には帰るか?」
「えっ…お昼!?」
「………、夜までいるのか?」
…もしかして、早く帰って欲しい?
そう思わずにはいられない言い方をする瀬田。不安になって顔を窺うと、瀬田の視線が何かを追ってる事に気付いた。
瀬田が見ていたのは、
「おはようございます、成雲。空さん」
入宮さんだった。
俺達を見つけて歩み寄って来た入宮さんは、ニッコリと美しく微笑んだ。
朝からきっちりブラックスーツを着込んだ綺麗な入宮さんからは、さっき煙草を吸ってたなんて考えられないくらい良い匂いしかしない。
…けど、なんだか顔色が悪い。
蒼白。
そう表現しても良いくらい血の気がない。
「お前……食べれるのか?」
顔色の悪い入宮さんに、瀬田がかなり心配そうに尋ねた。
そりゃ、こんな顔してたら心配だよね。
「ええ、病院送りは嫌なので食べますよ」
「…そうか」
そんな顔色してたら、食欲以前に病院行った方が良い気もする。けど、嫌だって言ってる事を勧めてもお節介になるだけだし…。
心配だけど何も言えなくて、そのまま立ち去る入宮さんを見送った。
「入宮さん、大丈夫なの?」
昨日、展望台で会った時は元気そうだった。鳳生くんと楽しそうにしてたし。
急にどうしたんだろ?
「あぁ………、いや、まぁ…、大丈夫だ」
なんだか歯切れの悪い返事。
今も瀬田はちらちらと離れた場所にいる入宮さんを窺っていて、とても大丈夫だなんて顔してない。
どうして、そんな赤らさまな嘘つくの?
なんだか、二人とも変だ。
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