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星の契り




次の日大翔は、自分の決意が揺らがないうちに星夜に伝えるべく、星夜の家へ向かっていた。


ベルを押して暫くして、星夜が出てきた。


「大翔…」


「おはよう、昨日ぶり」


「おはよう」


なんて言うか…元気が無い…?

顔色は昨日比べれば良いみたいだけど、どこか浮かない顔をしていた。


「上がってく?」


「あぁ、平気か?」


この平気か?は家に上がっても、とか、体調は、とか、色んな意味で聞いた。


「うん、もちろん」


さっきまでの浮かない顔を消してにっこり笑った星夜に、俺はお言葉に甘えてお邪魔することにした。


…けど、玄関で靴を脱いで立ち上がった時、星夜が一瞬ふらついたと思ったら、そのまま前に倒れ込んだ。




「星夜っ!」




なんで。


なんでこんなに、


どうして星夜が、


……


………


あぁ。時間が無いってだけで
こんなに焦るものなのか。


このまま、
目を覚まさないんじゃないかと思うと

震えが止まらなかった。


倒れ込んだ星夜の顔は、
さっきまでは良い方だったのに
色が抜けてしまったんじゃないかと思うくらい、真っ青だった。



震えてる場合じゃないと、上手く力の入らない体に鞭打って、俺は星夜になるべく衝撃を与えないようにソファに運んだ後、救急車を呼んだ。




――――――――――



救急車が到着して、星夜はすぐに担架で運ばれた。俺も一緒に乗って病院へ向かう。


その間俺はずっと、酸素マスクをつけた星夜の掌を握りしめていた。



――――――――――


星夜Side



真っ暗だ、全部、真っ暗。


なにも見えない。



俺、死んだのかな。



まだ、死にたくないのに…



もう少しだけ、大翔と一緒の時を過ごしたかったな…



俺の想いは、伝えられないから…
せめて、後少しだけでも一緒にいたかったのに。



ひろと…







「星夜っ!!!」




暗い暗い闇の中。

大好きな人の、声がした。



――――――――――



『ピッ…ピッ…ピッ……ピー――……』



病院に着く少し前。
1回星夜の心臓が止まった。


俺の回りの音が消えた。


握りしめている手はまだ温かくて。
医者達が心臓マッサージをするからと俺と星夜を離した。



ドンッ



心臓マッサージの音で消えていた音が戻ってくる。



ドンッ



だんだん血色を失っていく星夜。
俺は止まらない涙を拭うこともせず叫んだ。

「星夜っ!!星夜っ!!せいやっ…死んじゃだめだっ」


まだ、なにも伝えてない。


「星夜っ!!!」



『………ピッ…ピッ』



「心臓動きました!!」


医者の声に、俺は力が抜けて座り込んだ。


それから順調に応急処置をしながら星夜は病院の集中治療室へ運ばれた。





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あきゅろす。
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