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星の契り




(そうか。俺は、星夜の事が、好きなのか…)


次の日俺は、ずっとその事について考えていた。


俺の腕の中で、もうすぐ死ぬんだと震えて泣いた星夜。
ずっと苦しかっただろう。
怖かっただろう。

いきなりあと2ヶ月生きれるか分からないなんて言われて、はいそうですかなんて納得できる訳がない。

昨日の星夜を見て、こいつはどれだけこうして独りで泣いていたんだろうと、胸が苦しくなった。


同時に、もう二度と独りで泣かせるものかとも思った。



(あとどれだけ生きていられるかなんて、関係無い)



明日、伝えよう。


俺の気持ち。




――――――――――




同時刻。


星夜は大翔が帰った後、布団から出ることもせず、ぼんやりと天井を眺めていた。



(まさか、こんな事に、なるなんて)










「泣いてんのか?」


あれは、高校に入る少し前。
俺は中学ではいじめられっ子だった。
その日も、春休みなのに偶然あった同級生に散々中傷されて少し参っていた。
俯いて歩いていたけど、不意に悲しくなって立ち止まった。
そんな時、前方から声がした。


「………え?」


ゆっくり、顔を上げる。


「やっぱり、泣いてた」




これが、俺が初めて大翔と話した日。




「俺が言うのも変だと思うけど」


少しかがんで、俺の目を真っ直ぐ見ながら、涙を拭いてくれたんだ。


「泣かないで、」


一目惚れだった。


いつの間にか涙が止まったのを見ると、柔らかく笑いながら


「もう、ひとりぼっちで泣かないでね」


そう言いながら、俺の頭を一撫でして去っていった。


あの後、名前を聞かなかったことを物凄く後悔した。


それから約1ヶ月後、あの公園で再開できた時は本当に驚いた。
生まれて初めて神様とやらを信じた。




好き。




たった一言、伝えられたら。




でも、もうすぐ死ぬのに、そんなこと、言えない。
逝くよりも、遺される方が、何倍も辛いのに…



(伝えたいなんて、贅沢なこと言わないから。好きだなんて、言わないから。…想うだけならいいよね…)





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あきゅろす。
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