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星の契り




風呂に入れてる間、そいつはずっと俯いたままで、一言も話さなかった。


そして俺は内心驚愕していた。


病的な程白い肌、

細すぎる手足、

後は、躰のいたるところに引っ掻き傷のようなものがあった。


「ごめんね」


「は?」


体を流してやっていたら、いきなり謝って来た。


「気持ち悪いでしょ。ごめんね」


困ったように笑うそいつに、何故か胸が痛んだ。


「…自分のこと、そんな風に言うな。俺が気持ち悪いなんていつ言った。そんなこと思ってない。少し驚いただけだ」


思った事をそのまま伝えると、そいつの目がみるみる潤んでいき、嗚咽を漏らさないように必死に唇を噛み締めながら涙を溢した。


「…っ…―――っ」


背中を流す音が響く。俺もこいつも、何も話さなかったが、きまづい訳じゃなくて、心地良い沈黙が続いた。



「そう言えばお前、名前は?」



そいつを浴槽に溜まったお湯に浸からせながら、そう言えば名前をまだ聞いてないと思い沈黙を破った。


「月島 星夜(ツキシマ セイヤ)」


「俺は笹倉 大翔(ササクラ ヒロト)。大翔でいいから。星夜でいいか?」


「うん」

"よろしく"って言ったら、困ったような、悲しそうな顔をした。
でもすぐに嬉しそうに笑ったので、気になったけど、深く突っ込まなかった。


「そろそろ上がろう、暖まったか?」


「うん」


これ以上熱が上がらないうちに上がろうと思い、星夜を支えながらゆっくり上がった。


星夜に買い置きしていた下着と、スエットを着せて、俺もスエットに着替えて、星夜をベッドまで運んだ。
さっきよりも熱が上がったらしく、眉を寄せて苦しそうだ。

俺は星夜の頭の下にタオルを敷き、ドライヤーで乾かしてやる。
乾かし終わって、汗を拭いた後、水枕を作って、額に濡れタオルを乗せてやると、いくらかましになったようだった。

時刻は7:30。

食べれそうかと聞くと、首を横に振ったので、取りあえず何か胃に入れた方が良いと考えてお粥を作って食べさせた。
半分も食べなかったが、何も食べないよりマシだ。
全部食べきれなくて申し訳なさそうにしていた星夜の頭を撫で、水を飲ませた。


「疲れただろ。もう寝た方が良い。おやすみ」


「おやすみ…。…あの、…今日は、ありがとう。ベット、ごめんね」


「俺はどこでも寝れるから。気にすんな」


笑いかけて、隣に敷いた布団に横になった。

「消すぞ」


星夜が頷いたのを確認して、電気を消した。




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