星の契り
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夕方…―
病院に帰ってきた大翔は、真っ先に星夜の病室へ向かう。
815号室。
星夜の病室の前がやけに騒がしい。嫌な予感がして走った。
病室の中へ入ると、医師達が慌ただしく出入りしていて、器具が沢山置いてある台と処置をしている医師達。
その真ん中にあるベッドに星夜がいて。
「星夜っ!!」
周りの音とか声とか、一切耳に入らなかった。
駆け寄ると、苦しそうに息をしている星夜。
頭ん中が真っ白で。
何度も名前を呼びながら随分細くなってしまった手を握りしめた。
「ひ…ろ……と……」
「星夜!!しゃべるな、大丈夫。…大丈夫だから…」
ひゅー、ひゅーと苦しそうに酸素を取り込みながら、ぱくぱくと口を動かす星夜。
必死に何か伝えようとするけど、もう声が出ていない。
「星夜っ…せいや…ほら、今日星夜の誕生日プレゼント買ってきたんだよ」
ポケットから箱を取り出してあけると、中の指輪を星夜の指に通した。
嬉しそうに笑うけど、星夜の口から血が出てきた。
いよいよ俺の不安は爆発して、涙が止まらなかった。星夜も泣いていた。
それでも口を動かす星夜に顔を寄せる。
「なに…?」
震える声で星夜の話そうとしている事を俺も必死に読み取ろうとした。
『あ』
『り』
『が』
『と』
『う』
読み取れた時、涙が止まらなかった。
「星夜、星夜…うん、俺も、ありがとう。だいすきだよ。愛してるから。ずっと」
俺の言葉を聞くと、嬉しそうに笑って、病院から知らせを聞いて駆けつけた星夜の両親と俺に見守られながら、星夜は眠るように息を引き取った。
「星夜…う、あああああぁぁああ!!」
おれは泣き崩れ、置いてくな、とひとりにするな、と嗚咽混じりに呟いていた。
星夜は最後に眠る前に
(おれも あいしてるよ)
と―…
笑っていた。
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