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星の契り




あの雨の日。始めて言葉を交わした公園から、神様は俺達二人、それぞれに大切なものをくれた。



でも、やっぱり意地悪だ。



せっかく想いが通じたと思ったら、もうすぐお別れしなきゃいけないなんて。





ねぇ、大翔。



大好きだよ。





――――――――――




俺と星夜が付き合って3週間経った。
星夜はもうベッドから起き上がれないほど衰弱していて、掠れた声でやっと話している。俺は、俺が居ない時に星夜の容態が悪くならないか心配で、隣の病室の女の子が丁度移動で病室が空くので、どうしても帰らなきゃいけない日以外はそこで寝泊まりしていた。




今日は7月7日。

…七夕の日だ。



「せーいーやっ!!」

「……ひ、…と…」


ひろと、と呼べない自分に悲しくなる星夜だが、大翔の前では決して悲しそうな顔をしたり、泣いたりしなかった。
強く、在ろうとした。


「おはよ、さて、今日は何の日でしょうか」


入院してから日付なんて気にしていなかった星夜は、分からず、不思議そうな顔をする。そんな星夜に笑うと、大翔は自分の後ろから隠してたらしいあるものを出した。
「じゃーん!!」

「…ぁ…」


取り出したものは七夕セット。


「今日は七夕だよ。願い事書こう?」


袋から短冊を取り出してベッドに完備されている机にペンと一緒に置く。


「俺はもう書いたんだ。夕方当たりに、病院の人達が笹用意してくれるって」


だから夕方までに書いといてね、と笑う大翔に、星夜は曖昧に笑い返した。


もう、字を書くことはおろか、ペンを持つことすら出来なくなってしまっているのだ。


今日は星夜のプレゼントを買いに行く予定があったので、短冊、ちゃんと書いとけよ。と念を押して、病院を後にした。


今思えば、この時俺は分かっていたのかもしれない。
明後日の星夜の誕生日に、もう、間に合わないって。




――――――――――



「星夜くん、こんにちは。点滴替えに来ました」

「こ…にち、は…」

看護師は小さな星夜の挨拶ににっこりと笑うと、手際よく点滴を替えていった。


「じゃあ、何かあったら、ナースコール押して下さいね」


そっと離れていく看護師の背中に、思い切って話しかけてみる。


「あっ!!の…、っ」


大きめの声を出したせいでむせてしまった。


「星夜くんっ!!大丈夫?体傾けて、そう、大丈夫よ、落ち着いて、」


一度むせてしまうと止まらなくて、焦るけど、余計に酷くなって不安になると、看護師が背中をさすってくれた。

落ち着いてきた頃、やっと普通に呼吸が出来ることに安心して、思わず涙が出た。


「落ち着いたみたいね、もう大丈夫?」


ゆっくり頷くと、良かった…と微笑んで、ベッド脇の椅子に座る。


「何か話があったんでしょう?どうしたの?私に出来ることならなんでもするわ」


優しい笑顔に安心した。
そしておれは、思い切って口を開いた。


「ぁ、の…―」






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あきゅろす。
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