志を受け継ぐ者 第一節 生き物もおらず、草も生えていない。 そんな荒野に男が2人―― 伝説の漢から熱き志を受け継いだ戦士と伝説の漢と引き分ける実力を持つ剣士。 2人のその汚れのない眼は、互いをジッと見ていた。 「遂に、この時が来たのか。バズ。」 「あぁ。自分でも信じられない。アンタほどの実力の人間とこうして向き合い、そして今まさに、ぶつかり合おうとしている。」 「昔は私に敬語を使っていたお前が、今じゃ見違えるな。見た目までそっくりだ。」 「師匠はアンタに敬語を使わなかった。そしてリガス、アンタだけを心から認めていた。」 「それは私とて同じだった。今も昔もな。」 「じゃあ、今度は俺の存在も認めさせてやるよ。」 「そう上手くいくかな? まぁ私自身、楽しみで仕方ないのは事実だがな。」 剣士は剣を抜き、戦士は上着を投げ捨てる。 投げ捨てた上着が重々しい音を響かせると同時に―― 2人の戦いは始まった。 [次へ#] [戻る] |