フレイヤ外伝 第二節 三千年前、私がまだ野生だった頃です。 私は初代ご主人様と出会いました。 後で聞いた話ですが、初代ご主人様は貴族さんから依頼を受けていたらしいんです。 初代ご主人様は、その当時、とても技術が発達した種族の1人だったんですって。 その種族の噂を耳にした貴族さんが、変な依頼をしました。 「この世界一美しい我がマントに、伝説の狼"アイスウルフ"を、お前達の持つその技術で、封じ込めよ。」 この貴族さんはとっても変わり者みたいです。 なんでも、私達アイスウルフを封じ込めれば、マントがもっと良いものになると思ったんですって。 そして、私と初代ご主人様は戦いました。 私達動物にとっては、人間は恐怖の対象でしかありませんでした。 だから、自分の身を守るために戦いました。 牙と刀がぶつかり合い… 吹雪と吹雪が巻き起こり… あと一歩及ばす、負けちゃいました。 はっきり言って、「あぁ、私はここで死んじゃうんだ…」と思いました。 でも、子犬の姿で生きてました。 貴族さんは変になったマントを気持ち悪がり、そのまま初代ご主人様に渡しちゃいました。 しょうがなく、初代ご主人様が飼うことになりました。 そして私はこの人の家族で親子代々受け継がれていき、今のご主人様と出会ったんです。 昔は嫌だったけど、離れられなくなっちゃいました。 だって、人の温かみを知ってしまったから。 「フレイヤ、何やってんだ。行くぞ。」 あ、もう行かなくちゃ。 それじゃあ、さようなら。 ワンワン! 完 [*前へ][次へ#] [戻る] |