小説1-V 第十一節 レイは剣を握り、再び山の方を向く。 「レイ?」 「…」 レイの表情は怒りに満ちていた。 「ちょ、ちょっとレイ!!」 「…」 歩いていくレイの行く手を、一本の刀が阻む。 「レ、レイド?」 近くに生えている木に寄りかかりながら、レイドが氷狼牙を抜いてレイの目の前で止めていた。 「どこ行く気だ。レイ。」 「アイツに…復讐しに行く…!!」 「バカ野郎。今行ったって勝ち目なんてねえ…体を休めるのが先だ。」 「でも…!!」 「…復讐が何を生むか、知ってるか?」 「…何が言いたいんだよ。」 「"後悔"と"虚しさ"だけだ。」 「…」 「復讐なんてしたって、ジョウは戻ってこねえ。そんなことしても余計に辛くなるだけだぞ。経験者からの忠告だ。」 「…わかってる…でも俺は…!!」 「…っ!!」 「うぐっ!?」 レイドはレイの頬を思い切り殴った。 [*前へ][次へ#] [戻る] |