小説1-V
第五節
武器を構えるネルはサオウに向かって走る。
「…へっ…いいぜ…!!」
それを見たサオウはニヤリと笑い、拳を強く握る。
「かかってきやがれぇ!!」
その拳をサオウは地面にぶつけた。
「!?」
その瞬間、ネルの足が止まった。
サオウがやった事は、地面への攻撃。
言うなれば、ただの威嚇行為である。
ネルは、その一撃で“理解してしまった”のだ。
自分と相手との、圧倒的な力の差を――
「どうした? 来ねえのか?」
(正面から挑むのはマズい…!!)
「じゃあ、こっちからいくぜ!!」
「!?」
サオウは川の水の上を滑るように動き、ネルに近づいてくる。
(落ち着いて…集中して奴の動きを…)
「オラァ!!」
(見極める!!)
サオウは左の拳をやや斜め下に繰り出し、ネルはそれを後ろに一歩下がりながら体の向きを変えるように躱す。
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