小説1-V
第二節
「けどよ、南に出る道がねえんなら、あそこに行くしかねえよなぁ?」
「そりゃあ…ガァンさんの言う通りだとは思うけどさ…」
「決まりだな。早速行こうぜ。」
少し道に傾斜がかかる頃には、霊峰のほぼ全貌が見えるようになっていた。
川は霊峰に向かって流れ、やや強めの風が吹き乱れる。
雨が降っており、地鳴りが響く中、山の頂を見つめれば煮えるような赤い地が見える。
「さっきからチラチラ見えるんだが…溶岩が見える。」
雲が覆い被さっている為に辺りは薄暗い。
「ますます不気味な山だぜ…」
「…でも、何でかな…もう少しここに居たい気がする。」
「はぁ? おいおいレイ〜!! 何言っちゃってんだよ!!」
「悪い…自分が馬鹿げた事言ってるのはわかってるんだけどさ…」
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