小説1-V
第五節
銀の騎士は、クロウの大きすぎる力を“感じ取ってしまった”のだ。
「力が…急に…溢れ出て…!!」
「何を言っている。」
銀の騎士は怯えていた。
彼、銀の騎士と対峙した者は等しく竦んでしまい、動くことすら儘ならぬのが普通だ。
しかし、今は普段とは逆だった。
普段はどんな相手をも竦ませる男が、目の前の槍を持った男に怯えている。
こんな感覚は初めてだった。
全身から滲み出る汗を拭く時間すらも勿体無く感じた銀の騎士は、すぐさま施設の中へ逃げようとする。
「…」
クロウは槍をクルッと回して逆手に持ち、建物の出入り口目掛けて槍を投げた。
投げた槍は凄まじい早さで飛んでいき、出入り口を破壊した。
「どこへ行く?」
クロウは闇の力で槍を自らの手元に引き寄せ、ズンズンと銀の騎士に歩み寄っていく。
「く、来るな…!!」
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