小説1-V
第一節
山脈を登り、道中で八咫烏を退けたレイ一行。
その先に待っていたのは人の気配を感じない不気味な国だった。
「この国で暮らして欲しいんです!!」
「いや、それは流石に無理なお願いなんだけど…」
「…そうですよね…無理言ってすいません。」
しばしの沈黙が流れたあと、ネルが口を開いた。
「あの、事情を聞かせてくれませんか?」
「え?」
「こうして会ったのも何かの縁ですし。」
「わかりました。実は今、この国には…僕と父上しか居ないんです…」
「それはまた…」
「僕はライノア=シャ=マルコフ。この国の王子です。」
「お、王子様!?」
「あ、態度を改めなくて構いません。国民が居ない国なんて、国じゃない。王子も国王も成り立たないんですよ。」
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