小説1-V
第五節
「そういや、何で名前を変えてたんだ?」
「フォウズの民でタトゥーを持つ者は上層部に自分の名前を申告する義務がある。封印されている属性も一緒にな。」
「あー…つまり、逃げる為には名前も変える必要があったのか。」
「そういうことだ。」
レイは続けてテリナに聞く。
「あのさ、テリナ…」
「何?」
「俺達は…その…これからテリナを何て呼んだら良い?」
「…」
「ほら、本名はテレーゼなんだろ? やっぱりそっちで呼んだ方が良いのかなー…って。」
テリナは立ち上がり、振り返って話した。
「どっちでも。」
「え?」
「皆の好きな方で呼んで良いよ。」
「良いのか?」
「うん。だって、"テリナ"でも"テレーゼ"でも、私は私だもん。」
「そっか…わかった。」
涼しくも、少し心地よい風と柔らかな日差しに、レイ達は包まれる。
「じゃあ“テリナ”、城に戻るか!!」
「うん!!」
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