小説1-V
第五節
テリナは一瞬何が起きたかわからず、唖然としながら腰を抜かしていた。
「ふぅ…大丈夫みたいね。良かった。」
「その、ごめんなさい…」
「良いの良いの。仕方ないって。」
レイが懐かしみながら言う。
「そっか、あんな仕掛けもあったなぁ…」
「呑気だなお前は。フレイヤ、よくやった。」
フレイヤは得意気にワンと鳴いた。
「そういえば、この遺跡のことを俺達に話してくれた戦士がいたな。」
「図書館で知り合ったあの人ですね。」
ガァンがそれを聞いて言う。
「おい、ソイツってこの辺で割と有名な戦士じゃなかったか?」
「え? 確かにそう聞いたけど…知ってるのか?」
「あぁ、懐かしいぜ。バイラスってヤツなんだ。」
「そうなんだ。」
「知らなかったのか?」
「あぁ…俺達が遺跡から帰った時には亡くなったって…」
「…あーそういやアイツが死んだのは2年前のちょうど今頃だったなぁ…」
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