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小説1-V
第二節
月日は流れ、今から十数年前―――

大陸北のとある町、ベルムとベルムの妻、そしてその娘がいた。

娘はまだ幼い少女であり、物心もつかない年齢だ。

手にした"転移の石"をベルムが見つめる。

「一度戻る…あの国へ。」

「どうして…?」

ベルムは鍛冶場から一つの器具を持ってきた。

「我々が代々継承を続けてきたこの鞴(フイゴ)は、"あの技術"によって作られた。あの国の外で使われるべきものではない…そう思ったんだ。やはりこの鞴を用いた鍛冶で作られた武具は強力になりすぎる…。いずれは力を宿す武具として戦いの原因となるだろう。」

「だから、返しに行くと…? …でも、この子は置いて行けないわ。まだ幼いもの…。」

妻は暗い表情のままだった。

「ネリス、君まで来る必要はない。もしものことがあったら大変だ。」

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