小説1-V
第六節
幸いここまで誰1人欠けることもなく、登山は比較的順調だった。
「なぁ、そろそろじゃね?」
「何が?」
「例の“Unknown”ってなってるエリア。」
「あー…もうそんな登ってきたのか。」
「思ったより時間かかったよな。流石、登山家が恐れる山だぜ。」
「でも、本番はここからだな。」
以前は景色が見えていたが、今は見えない。
厚い雲が周りを覆っているからだ。
「登り始めた時に見たあの雲の中に居るのねー…なんか不思議。」
「何呑気なこと言ってんのよ。もう道が道じゃなくなってきてるのに。」
ネルの言う通り、最初ははっきり道と言えた物も、今は道とは呼べないような有り様である。
装備がなければ、歩くのは困難だろう。
「登りきったら綺麗な景色が見えるんだろうなぁ…」
「見たかったら頑張りなさい。」
[*前へ][次へ#]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!