小説1-V
第二節
「ねえ…」
「ん?」
声をかけたのはテリナだった。
「あの…西に行きたいんだけど…」
「西?」
レイ達は西の方を確認する。
「…」
そこには、とてつもなく高い山が見える。
以前登った北方の山岳とは比にならぬほどの高さと険しさだ。
大陸の最高峰であり、"天山"と呼ばれる。
難攻不落の登山に挑んだ者は多いと聞くが、無事に帰還できた話は数少ない。
「マジで西? まさか山の向こう?」
「…」
「何で?」
「私もわからない…でも…行きたいの。」
ネルが自分の髪をかき分けながら、何かを感じ取っている。
「…"風詠み"か?」
しばらく無言になった後、ネルが口を開く。
「…何かしら…私の力じゃわからないけど…」
「けど?」
「何か…いえ、誰かがテリナを呼んでた…? そんな気がする。」
「確かなのか?」
「だからわからないわよ。"うっすら"どころか"気がする"程度にしか感じなかった。」
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