小説1-V
第二節
その日の夜――
一行はサザンデール王国の東辺りで野宿をしていた。
「…」
横になったままのレイドは自らが使う刀“氷狼牙”を手にしたまま、ジッと見つめる。
刀の柄と鞘を持ち、五寸ほど抜いて刃を眺める。
「…レイド君。」
「ん? ラルス。」
「気になる? 例の“武器の強さ”のこと…」
「あぁ…ラムドの武器はどうなんだろうな。」
「お兄ちゃんはあの時カジノの方に居たからね。どうなんだろう…」
「…正直言うと、ホッとしてんだ…」
「何が?」
「コイツは…この氷狼牙だけは“強さ”があるって話だからな。コイツを手放すことにならずに済みそうだ。」
「そっか…レイド君。あの時のこと、もう引きずってない?」
「…さぁな。」
「そこは大丈夫って言ってよ。」
「大丈夫じゃなさそうだったら、そん時は頼む。」
「…覚えとく。」
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