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小説1-V
第六節
国の中には"先の勇者"と崇めていても、いまだに属性の力を持つ者を人ならざる者として差別的に扱うところもある。

この国もそんな国の一つのようだ。それゆえに、この国では"力"を使うべきではなさそうだ、とクロウは思った。

ふと周りを見回すと、町中の市場に来ているようだ。

先導する門番に留まってもらい、食事を取ることにした。

ここはバザールと呼ばれる市場で、簡易的なテントを張ったその下で、やくざな木の台にトウモロコシやトマト、香辛料や乾燥肉が大量に並べられている。

バザールの喧騒の下、あちらこちらの店で躍起になって"うちのは良いよ、うちのは良いよ"と、各々食料品を客たちに売り込んでいる。

トウモロコシを手に取ると、店主が勧めてきた。

今の時間で買えば、調理までして提供してくれるという。

ランチタイムといったところか。

2人分頼むと、店主はその場で鍋にトウモロコシの実をぞろぞろとそぎ落とし、玉ねぎやベーコン、ニンジン、パプリカを小指の先ほどの大きさまで細かく切って入れ、"店の自慢"という香辛料と水、そして米を流し込み、ふたをすると、大きな炎であぶり始めた。

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あきゅろす。
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