小説1-V
第一節
槍を持つ男、クロウはフロールとともに大陸を巡っていた。
「…暑いですわね。本当にこちらで合っていますの?」
クロウはフロールに水筒を渡すと、あれよあれよという間にその中の水は飲み干されていった。
「間違いない。もうじき国が見えてくるさ。」
しかし無理もない。
ここはミッドイーストカントリーから南東に進んだ先にある灼熱の砂漠地帯だ。
強烈な日差しが砂に照り返されて、手で視界を抑えなければ常人はとても目を開けていられないだろう。
2人が平気でいられるのは、それがクロウと、その御許で加護を受けるフロールだからだとしか言いようがないが、こんな砂漠地帯を一日半ほど、ひたすら歩いている。
「…しかし、らしくない。それが元王女の水の飲み方か?」
「そんなことおっしゃいましても!! こんな場所で喉が乾かない方がおかしいのですわ!!」
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