小説1-V
第三節
「なんであんな高いんだか…」
「でも、行かないとベルムさんの情報が得られないかもしれないし…」
あの受付の女性の制服も気になる。
セントラル"キングダム"はかかわっているのか、もしそうであれば一体誰が何のために新大陸を開発したのか。
ここで条件を呑まなければ、情報を得る手掛かりが遠ざかる気さえしてくる。
「ねぇ、ちょっと良い?」
「はい?」
「なんで料金があんな高いわけ? なんかサービスはあんの?」
ソイラの威圧的な態度は"標的"でなくとも重々感じる。
だが、大金を払うのだからただ運ぶだけというのは確かに酷なものだ。
一行に限ったことではないが、なけなしの金を払って乗船しても、その先で食えないのは困る。
ソイラの暴投に対して、受付の女性は先ほどの笑顔を一切変えず、また話し出した。
ただ、その笑顔で"何もない"では、こちらは笑えない。
「標準で船内食が、観光が目的でしたらレイズドアイランドでは3日分の宿泊費がサービスとなっております。」
受付の思いがけない言葉に一行は顔を見合わせた。
「ま、マジ!?」
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