小説1-V 第二節 このイールという単位は主にセントラルランドで使用されている通貨単位だが、王国時代に亡くなったイール国王の国民を第一に考える慈悲深い人となりに賛同した国々が敬意を表して使うようになり、以来共通単位となりつつある。 イール国王はその人物に対して不幸な運命をたどっていった。 女王に先立たれた際、自身を支えた家臣たちは国を手に入れようと考える野心家で、国王が病気で倒れたのをきっかけに本格的な"裏切り"が始まった。 家臣たちの計画のために王女は殺されかけ、イール国王が極刑執行を許さず収監し続けた犯罪者たちは即席の兵隊として解き放たれた。 国王が大事にしてきた国民に対してさえ、家臣たちは財政難と称して増税を強行し、国民の生活を蝕んだ。 結局、イール国王は裏切りの衝撃から目覚めることなく息を引き取り、国民や周りの国に"国王の心"が知れ渡ったのは家臣たちが失脚した後だった。 「ちょっと受付に行きましょ。」 レイ達は受付に居る女性の所に向かう。 [*前へ][次へ#] [戻る] |