小説1-V
第四節
クロウはレイの背中をポンと叩いた。
「その力よりも十分に大きな力で飽和して、解消するだけだ。試してみるといい。」
「お、おう。やってみる!」
レイが剣に力を込めると、その刃は大きな光に包まれた。
「いっくぜええ!」
掛け声とともにレイは渾身の力で剣を穴に突き立てるも、光の穴は依然残ったままだった。
「あれ…。うまくいかなかったよ。」
クロウは頭を掻くレイを見て微笑んだ。
「まあ、これからもっと力を使いこなせるようになるさ。」
スッと右手を出してレイを後ろに下げさせると、クロウはその手から黒い力を解き放ち始めた。
「レイ、闇の力と聞くと、どんなものを想像する?」
「そうだなあ、魔物なんかはまっ黒だったり紫がかった力を使ってきたり…、とんでもなく強い奴は赤みがかった黒い力を使ってくるし…。」
「ああ、それが闇の力を持つモノ達の限界だ。」
そう言うと、黒い帯状の影のような光が辺りを衝き照らし始めた。
それを発するクロウの手は純白色だった。
レイは驚いた。
「それが…、闇の力…なのか?」
「奴らが使える力は"本質"の上澄みにすぎん。」
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