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旅の後
第三節
「そんなことが…。私は"他の世界"へ討伐隊とともに赴いていたから何も知らなかった。」

「グレアスさんが悪いわけではありません。"この世界"に不運が重なっただけです。」

「しかし、そんな連中を続けて相手にしただなんて、大変だっただろう。」

「いえ、正確にはシグルスをレイ達が、封印の獣を俺がそれぞれ倒しました。」

「なんだって…? クロウ、君があの封印の獣を一人で倒したのか? …やはり君は既に…。」

「はい。最初は封印の獣が人の体を依り代にしたから勝てたのだと思っていましたが…。」

「"絶対存在"…世界に於いて在り続けなければならないモノ…。君は完全な闇の統御者…闇の力そのものになったのだな…。」

庭池の鹿威しが辺りに響いた。

「はい。本来、属性の力の根源は各世界にあり、自然界に普遍的に存在する、意思の無い無生物によってもたらされる、とされていますが…。」

「その通りだ。しかし君の場合は違う。君の力はこの世界だけではなく、全ての世界に影響しているんだ。君は生まれながらに…この道を選んだのかもしれない。…君には見えているのだろう? 全ての世界が。世界の辿るその先が。」

クロウは黙ったまま頷いた。




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あきゅろす。
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