旅の後 第二節 「安心してください。レイは、そうはならない…"力"を使いこなしつつあります。"力"に自分を囚われるようなことはありません。」 グレアスは安堵の表情を浮かべると立ち上がり、縁側のガラス戸を少し開けて、振り返った。 「そうか…よかった。…ところで、レイの記憶を奪ったのはもしかして、封印の獣の邪気ではなかったか?」 クロウが"その通り"と頷くと、グレアスは続けた。 「やはりそうか。地震が起きて邪気があふれたとき、封印に影響が出たのではないかと思っていたんだ。だが、あの獣は…いつでも封印を破ることができたはずだ。かつて我々戦士達が束になっても容易く弾いたほどの力があるのに、何故復活しなかったんだ?」 クロウは注がれた緑茶を一口すすると、話し出した。 「…依り代が無かったからです。あれだけの力を納める器が無かったのです。」 「しかし、君たちは事件を解決してここへ帰ってきた。…倒したのだろう? 君たちがあの獣を。」 「はい。それだけではなく、あの隕石でやってきた"シグルス"という男も、です。シグルスは元いた世界で自らの力を示すために、あの獣の力や属性の力を得ようとしていました。地震を起こしたのもシグルスが原因です。」 [*前へ][次へ#] |