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旅の後
第一節
窓から差し込む光は、いくつかの影を作りながら部屋を照らし、昨晩から残る空気の冷たさを和らげつつあった。

乾いた空気を潤すように、窯の上の鍋から湯気が立ち上っている。

それを見つめていた白髪の男は不意に扉を叩く音を聞き、開けてみると旅から帰った戦士が一人、そこに佇んでいた。

―――クロウ

槍を携えた男だ。

「…お久しぶりです。旅を終えたばかりですが、少しばかり話をしたいと思いまして。構いませんか、グレアスさん。」

「もちろんだ。みんなを連れ、よく戻ってきてくれたな。私も君から旅の話を聞きたい。息子が…レイが世話になったことだろう。」

グレアスはクロウを縁側へと招いた。ガラス戸は閉まっており、差し込んだ日の光でここは部屋の中よりもずっと暖かい。

「当初は"あの事"を確かめようと会いに来たのですが…。レイは、記憶の一部を失っていたそうですね。ですが、旅の中で取り戻すことができたようです。」

「本当か…! それで、"あの事"についてクロウはどう思った? レイは、"力"に盲目にされてしまうだろうか? 全てを見失って…異界を彷徨い、暴れ回るだろうか? 私の弟のように…。」




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