小説1B
第九節
ネルは何とか逃れたが、レイの腕にヘリアスの長い犬歯が刺さった。
「ウァァ!!」
ヘリアスはサッと離れると、袖で口元を拭った。
「光の力で弾いたか。本当なら、お前は今頃ミイラになっていたぞ…。」
ヘリアスは不気味な笑みを浮かべていた。
レイが抑えている腕の感覚はほとんど無かった。
「レイ君!」
そう言いながらラルスは駆け寄り、傷ついた腕に手をかざして回復を始めた。
「アイツ…本当にタダの地系の闇の力なのか…? その属性の力だけで、パッと姿を消したり、急速に血を吸ったりできんのか?」
レイドの表情には焦りが見えた。
「確かに…どんなに強い力でも、普通は出来ませんよね。何か理由があるんでしょうか…?」
そんなことを話していると、ヘリアスの腕は真っ赤に染まっていた。
やがて、その腕は獣の爪の様に鋭くなり、ラルスに襲いかかった。
レイは回復を受けながらも、剣でそれを防ぎ、競り合った。
片手持ちだからか、レイは圧倒された。
「お前は一体…何なんだ!?」
「さっきの男が言っていただろう?私は地系の闇の力を持った幽霊だと。」
その瞬間、レイドがヘリアスの腕に切りかかった。
ヘリアスはそれを飛び避け、レイから離れた。
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