小説1B
第九節
レイは肩に乗ったネルの手をそっと降ろした。
「ありがとう。助かるよ。」
一通り準備が整うと、クロウは喋り始めた。
「…では始めよう。皆、注意して動いてくれ。」
そう言うとクロウは、透けた槍を静かに構え――
投げた。
それは龍の右目に突き刺さった。
ドグナルグが大きく唸りをあげると、ソイラは火の弾を放った。
クロウの狙い通り、龍の体から炎が吹き出ると、槍は一瞬で水と化した。
それに合わせるようにドグナルグの頭上から紫電がほとばしった。
ラムドだ。
龍の動きが止まると、ラムドは叫んだ。
「行け!レイ!」
ネルはレイに強い追い風を起こし、サマイルは吹き出た炎から身体を護る地の力を与えた。
「レイさん、僕の加護は長くは持ちません。さあ、早くトドメを!」
レイはドグナルグに向かって飛んだ。
剣の刃は眩く黄金色に輝き、レイが降下するとともに龍を頭から切り裂いていった。
――ドグナルグは倒れ込むと同時に煙となって、消えた。
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