小説1B
第八節
クロウは、ラルスとレイドを近くに呼び寄せた。
「ラルス、"水"で槍を形作ってくれ。そしたらレイド、お前はそれを凍らせろ。」
レイドは疑問符が頭に浮かんだ。
「氷の槍だったら、俺が直接作れるぜ?」
クロウは槍の形になりつつある水を見ながら応えた。
「より精度を高められるからだ。…さあ、凍らせてくれ。」
レイドは言われた通り、確実にそれを凍らせた。
その槍は息を呑むほど透けていて、まるで鋭い宝石の結晶のようだった。
「ご苦労。…ソイラ、この槍があの龍に刺さったら、"火"の気弾で龍の力を増幅してくれ。」
一行はあまりに意外な作戦に驚きを隠せなかった。
「そんなことしたら、せっかく作った槍が溶けちゃうわよ!?」
クロウは槍の柄を地面に突き立て、振り返った。
「大丈夫だ、それが狙いだ。そしてラムド、お前は水になった槍に雷を落としてくれ。…あの炎だ、チャンスは一瞬だろうが…、期待しているぞ。」
ラムドは巨龍を見上げたあと、再び顔を戻した。
「わかった、任せてくれ。…痺れさせた後は、レイにトドメを任せるのか?」
クロウは龍を見上げて言った。
「その通りだ。ネル、サマイル、レイを後押ししてやってくれ。」
2人はレイの横に立ち、ネルはレイの肩に手を置いた。
「任せて! レイ一人じゃ心配だったのよ。」
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