小説1B
第五節
出発しようとした一行に初老の男が声をかけた。
「もし…旅の方々ですかな?」
レイ達がきょとんとした様子でいると、続けて話し出した。
「この村の者です。いや、大した用ではないんですがね。東は険しい山岳地帯なので、教えておいた方が良いかと思いましてね。」
「もっと険しくなるのか…。ご親切にありがとうございます。それでは。」
レイ達は老人に礼を言い、村を後にした。
山岳地帯を歩くレイ達。
足場の悪さが体力を削った。
「確かに険しくなってきたな。ラルス、大丈夫か?」
ラルスは顔を上げて言葉を返した。
「お兄ちゃん、ありがとう。でも、大丈夫だよ。」
横からフレイヤがラルスに向かって吠えた。
何か伝えたげな眼だった。
「何? フレイヤ。」
レイドが通訳した。
「もし辛くなったら背中に乗っかっても構わない、だそうだ。」
「ありがとう、フレイヤ。」
ラルスはフレイヤの頭を撫でた。
「寒くなってきましたね。」
サマイルがそうこぼすと、ソイラが自分の手に火を灯した。
「ま、ちょっと寒いくらいだし、あたしもいるから大丈夫よ。」
サマイルはその火に手をかざした。
「そうですね。ありがとうございます。」
[*前へ][次へ#]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!