小説1B
第六節
ラルスは静かに目をつぶり、集中した。
仲間達の呼吸の音――
風による木の葉のざわめき――
様々な音が耳に入ってくる。
その中で、特に大きなものは、魔物達の唸り声だった。
ラルスは、その中から、獣に紛れた人間の声を探った。
「(…どこから…聞こえるの?)」
ラルスはひたすら集中した――
「グルルル…」
かすかに聞こえたその音を、ラルスは逃さなかった。
「(聞こえた!)」
すぐさま音の源に水柱を立てた。
フレイヤはそれに向かって猛スピードで飛びかかった。
捕らえる寸前、その人影は木の上に逃げてしまった。
その人間の姿を見たレイ達は、驚くしかなかった。
「何だアイツは!?」
「人間…? それとも…獣…?」
「獣人…と、いったところでしょうか。」
それは確かに、人と獣が融合した様な姿だった。
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