小説1B
第八節
「そういえばクロウはどこにいったんだ? さっきから姿が見えないけど…。」
レイ達が辺りを見回すと、住宅街の入り口から歩み出てくるクロウが見えた。
「クロウ! 今までどこにいたんだよ?」
「お前の父親に用があってな。」
レイは首を傾げた。
「グレアス父さんに?」
「ああ。大したことではないが、気になるなら帰った後にでも、聞いてみると良い。」
「え、あぁ…。ところで、クロウももう行くのかい?」
クロウは少し間をあけて言った。
「ああ。イーストキャニオンに出来た光の穴を消さねばならん。」
クロウは村の出口を向いた。
「…そっか。その後は、どうするんだ?」
「また戦いの中に身を投じるだろう。」
クロウは、レイに歩み寄った。
「…いずれまたこの村にも来よう。」
そしてレイの頭に手を置き、言った。
「元気でな。」
クロウの顔は、優しく微笑んでいた。
遠ざかっていく槍使い――
その背中は最高の兄貴分に相応しく、何よりも大きく見えた。
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