運のない男の話 第一節 「そんじゃあまたなタルガ。」 「あぁ。せっかく高額の報酬をもらったんだ。無駄遣いするなよ。」 「わかってる。」 俺の名はディム。 金もなけりゃ女もいねえ、運のねえ男さ。 しかし、今日の仕事の稼ぎはなかなか上々だ。 お偉いさんの浮気調査するだけでこの額とはな。 金持ちは違うぜ。 さて、俺は不運な男だ。 せっかく稼いだ金も、気づけば財布ごと落としちまうのさ。 だが俺にも、運が向いてる時は少なからずあるのさ。 じゃあ行ってくるか。 カジノにな。 言っとくが、楽して金を稼ぎたいわけじゃねえ。 金を稼ぐなら、汗水垂らして一生懸命に働いた方が良いに決まってる。 ギャンブルも、一種の遊びに過ぎねえのさ。 ギャンブルをする時は、ソイツの場の支配力が試される。 支配力の高さに応じて、報酬は大きくなるのさ。 場を支配できてたなら、報酬は大きくなり、そうでないなら少なくなる。 つまり、度胸と支配力を試す為に賭け事をしてるってワケだ。 [次へ#] [戻る] |