ある漢の日常 第五節 その後の道中―― 自分の肌にポツポツと、上から落ちる何かが当たる。 「雨か…」 見上げると、空は分厚い雲で暗くなっていた。 雨が本降りになってしばらくした頃―― 「ミャー…」 か細い声が男の耳に入った。 道の端に置いてあるダンボール箱の中に、小さな猫が居た。 「捨て猫か…」 男は迷わず捨て猫をヒョイと拾い上げた。 その猫を優しく抱きかかえ、ある場所へ向かった。 男はその場所にたどり着き、そこにある建物のドアをノックする。 「!! ファイスト…!!」 「ようリガス。また連れてきたぜ。」 「またか…。わかった、預かろう。」 「悪いなリガス。本当なら俺が自分で飼いたいところなんだが…」 「お前には家がない。それに、もう寿命がそれほど残っていない。だろう?」 「そういうことだ。」 「しかし、猫だけでこれで10匹目か…」 「…そうだ、ついでに手合わせしねえか?」 「わかった。この猫をなんとかしたらすぐに用意する。」 完 [*前へ][次へ#] [戻る] |