ある漢の日常
第四節
「危ねえ危ねえ。どうにか止まったか。おいちびっ子。ケガはねえか?」
「う…ふえぇぇん!! 怖かったよぉ!!」
少女は泣きながら男に抱きついた。
男は少女の頭を優しく撫でた。
「よしよし。その様子ならケガはねえな。」
そこに2人の男女が駆けつけ、男はその2人に泣きながら感謝された。
「ありがとうございます!! なんとお礼を言ったら良いか…!!」
「気にすんな。まだ先があるその子には、こんな所で死んでほしくなかった。それだけだ。あと、次からはアンタらが自分でその子を守ってやんな。それが親の仕事ってもんだ。」
「は、はい!!」
男は少女の目を見て言った。
「ちびっ子。俺のこと、忘れんなよ。」
「…うん!! ありがとうおじさん!!」
「こら、俺はまだおじさんなんて歳じゃねえぞ。」
「あたしから見たらおじさんだよ?」
「…そうかい。なら好きにしろ。」
そして、男は振り返る。
「そんじゃあ、元気でな。」
男は手を振りながら去っていった。
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