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夢を見る少女は
[青峰&夢主] バレンタインデー青峰ver 「幼馴染から...」

初恋は実らない。 

他人事だったフレーズが脳内を駆け巡る。





珍しく女らしい考えに至ったのは今日が2月13日。つまりはバレンタインデー前日だからだろう。
男勝りな私も今年こそは!っとチョコを使ったお菓子作りに挑戦したのであった。

溶けて液状になったチョコを相手に全神経を使い型に流し込み、切ろうとする度ひょいっと転がるアーモンドを相手に怒りが芽生えてきた。
あぁ、慣れていない事するのって大変だ。



『はぁ。女子って普通に毎年作ってるけど...。やっぱり私は食べる専門でいきたいな。あ゛ー疲れる』



っと、女子力の無い私が頑張る動力源はたった1つ。






ーーー本命チョコを作るため






中学生活も半分を切ったのに恋をしたことが無かった私にもとうとう春が来た。
無縁だと思っていたその感情はどうやら中学入学のその日から芽生えていたようで。

幼馴染が少し大きめな制服を着てたのを見て。っと言う何とも言い難い理由が私の恋の始まりだった。
新鮮だったからだと平常心を保っていたが流石に2年目になっても制服姿に早鐘を打つっと言うのはどうしたものか。



『ふぅ。取り敢えず後は冷やすだけか』



そう呟きながら冷蔵庫にチョコの入れたトレイを入れる。作ったのは生チョコ。そしてメッセージをチョコペンで書いたハートの形のチョコ。


友達と選んだカラフルなラッピングの道具に「これでおかしくないよね?」っと自問自答しながら出来たチョコ。初めてにしては上手な方でしょ。...アーモンドを切るときに何回か指を切った事さえ除けば。
思えば人生初の手作りチョコが本命ってのも新鮮だよな。

そう思いながら眠りにつくのだった。
















翌朝、早起きして向かったのは学校の校舎------ではなく体育館。朝練という朝早くからも練習があるバスケ部が集まるその場所へと足を運ぶ。
ドアに手を付ければ聞こえてくる変声期を迎え低い男子生徒の声、ボールが床と擦れ合う独特な音。そしてバッシュというバスケをする際に履く靴のたくさんの音。

ドアを開けると計算されていたかの様に掛かる集合の合図。集合を掛けた人物に寄って行く生徒を見ながらも私の目は無意識にある1人の人物だけを目に映す。



「ほんと勇花ちゃんは大ちゃんが好きなんだねぇ」


『!』



背後から聞こえた声に赤くなっていく私の顔を見て彼女は更に笑う。



「顔真っ赤だよ?可愛い♪...て違う違う、ほら練習終わったから今がチャンス!」



そう言い彼女が指すのは本命チョコをあげる相手、





青峰大輝





「ちょっと大ちゃん!勇花ちゃんが呼んでるよ。早く来て!」


「あ゛...勇花?」



私の方へ首を傾げながら来る彼とすれ違いどこかへ行く彼女が



「後は頑張って」



と、目で話してきた。うん、一か八か。当たって砕けろだ!
そう思い彼に声を掛けた。



『あ、青峰』


「あ゛何だよ」



勇気を出して名前を出せばだるそうな返事が返ってくる。



『今日はバレンタインだろ?桃井のチョコの後にでも食ってくれ。ただ味は保証しないからな』



そう言い後ろへ隠していた両手と共にチョコの入った袋を彼に差し出す。



「へぇ。勇花がねぇ。...そうだ」



口角を上げにやりと笑った彼を見て「じゃあ」と踵を返した私の口が閉じられる。私自身の力でなく青峰の力によって。



『んっ、ちょっとま、って!』



あまりにも苦しくなり距離がゼロになっていた青峰の胸を押すと簡単に離れてくれる。
私と彼の間に出来た茶色く染まった銀の糸がぷつりと切れ、それにかぁっと頬に熱を感じる。



「案外うめぇぞ?」







いつの間にか封を切ったチョコに満足した彼は上出来上出来っと私の頭を叩いた。



そして私達の関係はいつの間にか幼馴染から恋人に変わっていた。













(ってか何だよその傷)

(あぁ、女子用に作った方に使ったアーモンドでね...。)

(俺にもくれよ?)

(もうないよ!)

(じゃあ)





ーーー勇花、貰っていいよな?


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