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夢を見る少女は
[黒子/夢主] バレンタインデー黒子ver 「年上でも余裕は...」

今日は2月14日。期待してしまうのは男子なら仕方の無い事な訳で。僕も楽しみにしてました。



『だ〜か〜ら〜。紫原に持ってかれたんだ!本当は用意してたんだよ?』




この一言を聞くまでは。
信じて!っとうるうるした目で訴える彼女が嘘を言う訳はありませんし、紫原君ならしそうな事なので疑ってはいません。でも、期待していた分当然ショックは大きいわけで。



「1つもないんですか?」



予備に...っと用意周到な彼女の性格に期待を掛ける。



『すまない。それも含めて袋ごと持って行かれたんだ。』



------それに黒子のは特別で1つしかなかったんだ



「えっ?」



特別?1つ?勇花さんが言った言葉がリピートされる。
...っという事は僕の分だけ特別に違う物を作ってくれていた訳ですか。でも、勇花さんはお世辞にも女子力が高いわけじゃないですよね。

合宿の時の雑切りにされた野菜達が脳内を駆け巡る。皮が少し残っていたりして見かねた緑間君が手伝ってましたし...。

ふっと彼女の指を見る。さっと後ろに隠された勇花さんの手を不審に想い掴み、向い合って立ってる僕との間に出す。

------ほら、やっぱり



「勇花さんこれって...」


『ええっと...猫!猫に引っ掻かれて』
「違いますよね?」


『...はい』



僕が問うと素直に答えてくれる勇花さんは可愛い。こう言う時は逆らわず素直全て打ち明けてくれる。まぁ、怪我の原因はおそらく料理の最中に出来たんでしょう


年は彼女の方が1つ上な訳で、少なくても僕を一人の後輩としか思ってくれていない。特別仲が良いのは家が近所なだけで、チョコもそれで特別に一個量が多いっと言うものだろう。でも...

そんなちょっとした特別で良いから“どうしても”欲しいと思ってしまう僕は重症なようですね。



「それじゃあ仕方ないですね」



これ以上勇花さんを困らせる訳にもいきませんし、良いんですよ気持ちだけで、っと一言添えておく。



『ごめんね、せっかくだから勇気出したのに』


「えっ?」


『あっ...』



しまった。っと言う様な声を出し慌てて口元に両手で口元を隠す彼女は可愛いを過ぎて愛おしい。
「好き」っと言う一言を伝えることが出来ていればこんなに苦しくないのでしょうか?勇花さんのこう言う照れた顔も笑った顔も怒った顔も...全て自分の物にしてしまいたい。そう思うようになったのはいつからでしょう?

それにしても、勇気って何のことでしょう?



「勇気って」

「勇花ちん〜」


「...」
『?!』



何ですか?っと聞くのを遮り聞こえるのは紫原君の声。その大きすぎる体にどちらかと言えば似合わない小さな小さなプチ袋が彼の手に握られてる訳で。
隣で驚いてる勇花さんの顔は紫原君が持っている物に目を移すと真っ赤に顔を染めました。



『む紫原!?見たのか?見たのかぁあああああああ』



「落ち着いてよ勇花ちん。うるさい。別に見られても困らないでしょ〜。気付いてないのは黒ちんとミドチンくらいだって。じゃあね〜」




---カサッ





紫原君は勇花さんに袋を渡しどこかへ言ってしまいました。
それにしてもなんのことでしょう?緑間君と僕の気付いてない事って。



『く、黒子。紫原が持って来てくれた』


------さっき言ってたやつだ。やるよ、じゃあな




そう言い捨て僕に袋を握らせると勇花さんは紫原君を追いかけて行ってしまった。













勇花さんが握らせていった袋を開けてみる。型からはみ出した小さなチョコが2,3個。
それと1つのハート型のチョコ。引っくり返してみると白のチョコペンで文字が書かれていました。









義理チョコ
じゃないからね













っ、こんな事されたらこっちまで照れるじゃないですか。
ホワイトデー、楽しみにしてて下さいよ?勇花。


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