夢を見る少女は
[黄瀬/夢主]バレンタインデー黄瀬ver「2/14」
2月14日。今日はバレンタインデー。
まだ朝の6時を過ぎたばかりだけど、俺はすっかり目を覚ましていた。
---♪〜♪〜♪〜
---ピッ
「またっスか?」
「何がまたっスか?だ!お前は事務所をチョコで埋める気か!あれから減るどころか増える一方なんだ。引取りに来てくれ!」
「俺学校あるんスよ?無理っス。」
そう。目を覚した原因は事務所からの電話のせい。俺宛のチョコが大量に届いてるらしい。ただ、掛かってくる度マネージャーさんの声が大きくなるのが俺には一番キツいっス。そのせいで更に眠気が飛ぶ。...紫原っちに送れば喜んで貰えそうだけど、何て考える俺って一体...。
「取り敢えず、学校が終わればすぐに事務所に来い!ーーーあっ、宅配の方ですか?黄瀬涼太宛のはこっちへ...。ーーー取り敢えず切るぞ?忘れずに来いよ」
---ッピ
「って事があったんっスよー。おかげでいつもより寝れてないっス」
『ちょっと嫌味?世界中のモテない男子に恨まれるよ』
「えぇー、マジッスか?」
涼太と一緒の帰り道。いつもと同じような雰囲気だが私の片手に握られてるチョコでいっぱいの袋が特別な日だと訴えている。私の持っている袋の中だけでも軽く50個はありそうな訳で。やっぱり涼太はモテるんだなっと今更感じる。
モデルの仕事をやってる限り事務所に届くチョコは仕方無いとして...学校の人達は許せないな。
------私はこれでも涼太の彼女何だよ?
涼太はモデルだから当然モテる訳で、これから家に帰ってから事務所に届いた分のチョコを取りに行くのだという。何でこんな事で嫉妬してるんだろう。
別に仕方ないじゃない。涼太はモデルなんだし...。
そう思っているからか、私自身が贈る予定だったチョコは私の手とカバンの中を行き来するだけで、当然良太の手には届かない。
『はぁ』
「どうしたんスか?やっぱり重かったっスか?」
『いや、大丈夫』
私の異変に気づいたのかと思うと期待ハズレな言葉が私に降りかかる。もう。何でこう言う時に限って気付いてくれないのよ。
「------さっきの冗談っスよ?早く勇花のチョコ下さいっス」
『!...気付いてたの?』
「とーぜんっス♪」
涼太がやっと私のチョコを受け取ってくれたのは、彼と初めて出会った場所であり、彼が私に告白してくれた思い出のある公園の前だった。
「俺、今度はここでプロポーズしたいっス」
そんな突然のチョコレートの様に甘い告白に、
私の心は溶けてしまいそうだった。
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