[携帯モード] [URL送信]

属に言う帰宅部の平均的活動
カレーみたいに何でも詰め込めば良いってもんじゃない
気がついてもうろうとする意識の中、起きる。
(頭いってえ・・・)
それよりも頭に触れている感触が優しかった。
(この・・・柔らかさ・・なんぞこれ・・・)
ゆっくり目を開けると、目の前に神有彩の顔があった。
「かわいい・・・」
そういって、俺の頭を撫でる。
起きているとは気づいていなかったらしく、頭を撫でつづける。
(心地いい・・・)
もう少し・・・このままで・・・


・・・しかし。




「うおおぉぉぉぉぉ!!神有彩!」
背中に衝撃。

吹っ飛ぶ俺。

ゴロゴロゴロゴロ・・・

柱に、激突。

ピューーーーーっ

「だぁぁぁぁぁあああ!!」



血がふきでる。
「神有彩っ!コノヤロウ!!」
もうろうとした意識の中で、声のする方を見る。

桜田が神有彩を抱きしめていた。
「大好きだぁぁぁ!」
叫んでいる。

神有彩は、それを押し倒し、俺の元へくる。
「浦・・・血でてる・・」
そういうと、俺の前髪をあげて顔を近づける。
「ん・・・」
目を閉じて舌で、ペロりと額を舐める。
「・・・なんだ?これ・・・」
呟いても答えはでない。




(そうだった・・・カレーライスを食って失神したんだった・・・)
まだ、頭がぼぉっ・・・とする。
神有彩の肩を叩き、ゆっくり立ち上がる。
神有彩は心配そうに、見つめている。

カレーの影響だろう・・・
だからこんなにも素直な彼女が目の前にいるのだ。
キラキラとした、目線を無視して洗面所に行く。
(顔・・・洗っとこ・・・)
眠気覚ましにはなるだろうと思い洗面所の扉を開けた。
すると、そこにいたのは・・・
「あ、さとる君」
「・・・姉ちゃん?」
自分の姉が、口に歯磨き粉を突っ込みながらにこやかに微笑んでいる光景と言うものはこんなにも、衝撃に満ちているのだろうか。

いつのまに、髪のゴムをとったのかいつもの、ロングヘアーの姉ちゃんに戻っていた。
「あ、さとる君・・・血・・・」
さっきの傷がまた、開いたようだった。
「ん・・・べつに大丈夫だけど・・・」
すると、泣きそうな目で俺に近づく。
「いやぁっ・・私も、ペロペロしたいのっ!」
(・・・いつからエロ小説っぽくなったんだ?)
心の声と反して、姉貴が近寄る。
「んく・・・・」
ぺろり・・・・・・・・

額に衝撃
「うおおぉぉぉぉぉおぉああああぁ!!」
モーレツにしみた。
痛みの中で、あることに気づいた。
(そういや・・・塩の歯磨き粉・・・使ってたんだね・・・俺ん家・・・)
そのまま、再び俺は気をうしなった。





気がついて起き上がる。
時計を見ると、午後9時。

メインルームについた俺を待ち受けていた光景は・・・・。
自分の姉ちゃんが、神有彩といちゃついていた。

「ねーねー、何色のブラしてんの?」
「・・・・・黒」
「きゃーん、黒だって。おっとなぁ☆」

(何が大人だ・・・ただのエロ話じゃねえか)
呆れたので、そのままスルーして目の前を通り過ぎようとする。
でも、そんなんじゃ筋は通らないのが姉ちゃんである。
「あ、さとるくぅ〜ん」
姉ちゃんが上機嫌で呼び止める。
無視して、歩きつづける。
「さとるくんてばぁ〜☆」
立ち止まり、冷たい目線で振り向く。
すると、神有彩が手を目下に当て、
「・・・・きらっ☆」
「・・・・」
カレーのせいか、今日の二人はなんかおかしい。
(やっぱり、マンドラゴラとか入れたから・・・)
「・・・じゃ、俺。部屋にもどってるから・・・」
背中越しで、姉ちゃんの声が聞こえていたが無視して階段を駆け上がった。



無言のまま部屋に戻って見ると、何やら啄武の部屋で音がする。
嫌な予感がして、部屋を覗く。
「・・・あ゛っ・・・」
桜田が、冴子を抱きしめていた。
「あ・・・あんた、それ・・」
「ち・・・ちげーよっ!」
「いや、お前これ・・・・近視そーか・・・」
「ごかいすんな!あれだぞ?俺はこいつが好きなだけだからな!」
ヤバイ発言を、連呼している。
「てか、勝手に啄武の部屋に勝手にはいんなよ!」
「・・・啄武?」
「弟!弟の部屋だよ!」
「弟・・・?・・・ぴゃゃゃぁぁあああっ!」
「叫ぶなぁ!!」
俺も叫び過ぎて、傷が開いてきた。
(痛っ・・・。もう、帰ってもらわなくては・・・)
「・・・ねえ、桜田さん」
「どうした?」
「そろそろ、帰りません?」
「泊まるつもりだぞ?」
「はい?」
「お前の姉ちゃんが、泊まってけって・・・」

あの姉貴・・・
余計なことしやがって・・・

「はぁ・・・」
「なんで、ため息をつく・・」
「いや、別に・・・」
頭を抱えながら、俺は桜田の隣に座る。
「冴子ちゃんは?」
「そこのベッド」
ベッドを見ると、冴子がスヤスヤ寝息をたてている。
「なんかさ・・・あのカレー食べてから、変なんだよね」
桜田が急に、切り出してきた。
「なんか、素直な気持ちになれるっていうか・・・」
苦笑いしながら、そんなことを言う。
「俺さ、こいつに何もしてやれなかった・・・」
「え?」
「冴子にだよ」
冴子の隣に座って語り始める。
「こいつ、昔は体弱くてな。あるとき病気が、悪化したことがあって・・・そんとき、一緒にいたのは俺とこいつだけ。その時の、こいつの表情が忘れられないんだ・・・無理に笑ってよ、(大丈夫だから・・・お兄ちゃん。・・・ごめんなさい)ってさ」
「・・・」
「あの時の謝罪の意味がわかんなかったんだ。俺には。 あれから、あんまり冴子と話さなくなって・・・・。そして、この前久しぶりに喋ったんだ。ほんの数秒だったけどな、
(なあ・・・・)(・・・なぁに?)(・・・帰宅部に入らないか?)(・・・いいよ)
それだけだった。
でも、十分だったんだよ。話す理由としては、十分だったんだ。だから俺は今、こいつに今までしてやれなかったことをしてやるつもりだ」
今まで、桜田の口からこんな言葉が出たのを俺は聞いたことがなかった。

不器用な口調で、でも必死に素直な気持ちを俺に伝えようとする桜田をみて、俺は微かな感動を感じた。
二人の邪魔をしたくなかったので、そそくさと部屋からでていく。
出る直前、桜田が
「啄武に、プレゼントを置いておくか・・・」
といっていた気がしたが、気にしない事にした。


結局、俺達の作ったカレーは何だったのだろう。
桜田が、急に来るとか言い出して・・・
晩御飯のカレーを目茶苦茶にして。
馬鹿やって・・・
でも、ふざけて作ったにしては・・・・中々衝撃的な、味で・・・
「まあ、・・・・なんだ・・・楽しかったといえるかもな・・・」
ベッドに横になり、呟く。
下にいる二人も静かになったようだ。
(つかれて、寝たんだろうな・・・いや。気絶しただけかもな・・・)
思わず苦笑する。
風呂は・・・・朝風呂でいいや・・・
今は疲れていたので、早々に寝ることにした。
(おやすみ、・・・・みんな)
そうして、ゆっくり目をとじた。




そして、つぎのあさ。
俺は自分のへやで眠る俺以外の、男一人、女三人の光景にまた、苦笑することになるのである。

[*前へ][次へ#]

7/11ページ


あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!