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属に言う帰宅部の平均的活動
決意とかの問題
「どうだ!魅力的だろ」

桜田が自信満々に言う。
正直、呆れた。

「あの・・・神有彩さん?」

「・・・神有彩でいい」

「じゃ、神有彩。この人は・・・イってんのか?」

桜田を指さして聞いた。
そんな俺を無視して、桜田は笑っていた。

「べつに・・・イってはないと思う」

冷静にこちらを向いて言う。

「わかった、ありがとう・・・」

そういうと、神有彩はパソコンの画面に目線を戻した。

「あの・・・桜田さん地球侵略ってどういう事ですか?」

「うぬ、簡単に言うと地球侵略をする方を応援する部活だ。たまに侵略活動に参加したりする」

「例えば?」

そう聞くと、(うーん・・・)と顎に手を当てて考えている。

「・・・きりたんぽ買い占めたりとか?」

「・・・それになんのメリットが?」

「・・・」

「何も無いんですね・・・」

「・・・ごめん」

案の定だった。
だから中途半端だといわれるのだ。こういう部活は。
俺は中途半端と言う言葉が嫌いだ。

口先だけで、平然と理論だの、常識だの、正義を語っているくせに何もしない。
あるいは、馬鹿でかい目標を掲げ、結局何もしない。


・・・となると話は簡単だった。

「あの・・・明日まで結論つけますんで、また明日って事で・・・」

「えぇっ!マジで?」

桜田が驚きの声をあげる。

「ええ。明日まで待ってください」

「あ・・・あぁ。期待はしてるぞ」

「わかりました」

そういって、俺は部室を出た。
勿論、明日ここにはくるつもりはなかった。

(くそ・・・何が、地球侵略愛好会だ。・・期待させやがって・・・)

心のなかで叫び続ける。

俺は昔、サッカーをしていた。
結構上手いほうで、入って半年でレギュラーに選ばれた。
そして、チームメートは俺をとても慕っていた。
だからこそ・・・俺は、つけあがってしまった。



忌ま忌ましい思い出を思い出し、胸糞が悪くなる。

(でも、あの頃言われたことは・・・やっぱり正しかった)

ぼんやりと、外を見つつ改めて思う。


そして、なにもすることがなくなった俺は玄関に向かう。
そこで、はたと気づく。

「あ、やっべ。家の人に見せるプリント忘れて来た・・・」

階段をかけ上がり教室に戻る。
だれもいない教室に入り、持つものを持って教室を出る。

先生や、先輩に見つからなかったのを幸運だと思いながら廊下を歩いていた。

その時、ひやりと背中に人気を感じた。
(・・・・何だ?)
真後ろを見た。
だれもいない。
気のせいかと思い、前を見る。

「・・・なにやってんすか?」

斜め前に、神有彩マヤが立っていた。

「・・・・あ」

俺に気づいたようだった。
印象深い髪型が、夕日に当たって光った。

「気づいた・・・」

「・・・気づくよ・・そりゃ」

「・・・驚いた?」

「そりゃまあ・・」

「・・・そ」

満足そうに、歩きだす。

(何なんだ・・)

とも思いながら、立ち止まったままでいる理由もなかったので、あるきだす。

「ねぇ、ホントに帰宅部入る?」

意外にも、先に話しかけて来たのは彼女の方からだった。
俺を見ることもなく、真っすぐ前を見ている。

「どうかな・・・でも、正直入らないと思う」

言いにくいがここは、はっきり言っておくべきだと思った。

「・・・そう。どうして?」

前を向いていた目線がこっちを向いていた。
やっぱり、なかなかの女の子に見つめられると照れる。

「う・・ん・・・なんか、俺にはあってない気がして・・・」

何となく、話す。
ホントは昔のトラウマがあるからなのだが、あんまりそれには触れられたくなかった。

そのあとは、しばらく黙って廊下を歩いていた。
だんだん、その空気に息苦しさを感じ始めていた。
そんな中、消えいりそうな声で、沈黙を破ったのは彼女だった。

「私も・・・はじめは、桜田。苦手だった。」

「えっ?」

そんな風に見えなかったので、純粋に驚く。

「昔、私はみ出し者だった。誰にも相手にされなかった。話しかけて貰っても私、無愛想だからみんなが避けて行った。」

一つ一つ言葉が胸に突き刺さるように感じた。

「・・・・そんななか、しつこく話しかけてきた人が、桜田門外だった。話しかけてくるのは、玄関付近。待ち伏せしたかのように現れては、話しかけてきた。話してくる、話はわからないことばかりだったからだんだんムカついてきて、ある日聞いた。なんで私に関わるんだって、私に関わって何が楽しいんだって。そしたら、

(俺、馬鹿だけどさ。人を楽しませるの好きだから。お前みたいな、つまらなそうにしてるひと見ると、自分の力で笑わせたくなるんだ)
って言った・・」

急に神有彩が立ち止まる。
俺も合わせて立ち止まった。

「・・・そして、ある日桜田が帰宅部って部活しながら裏でなんか怪しい部活してるっていう、タレコミを聞いた。そして思った。(あいつのこともっと知りたい)って。だから私、桜田の力になりたいと思ってここに入った・・・ちょっとうざいけど・・」


夕日を背に受け、話を聞いているうちに、俺はある衝動に駆られた。
それは、明らかに先ほどまでの考えと全く逆の方向に突っ走っていた。

「そうか・・・」

静かに呟く。
そんな俺をみて、安心したように、玄関で靴を履いている神有彩をみて俺も、靴を履きかえ外へ出る。

「じゃ、また明日会おう」

そう言って玄関をでる。

(あの桜田と言う人と一緒にいたら、何かが変わるかも知れない)

そんな思いを胸に、家に帰った。

そして、明日。
俺は、恐らくあの場所へ行くのだろう。
そしてこれからも。



だが、しかしこの時俺はこれから始まる、激動の日々にまだ、気づいてもいなかったのである。



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