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スライド式の簡素な扉。
所々木が腐っており建て付けが悪い。押しても引いてもスライドしてもガタガタギシギシと悲鳴をあげるだけで、一向に開かない。
7年前はこの小屋もこんな不気味な雰囲気を醸し出すことなく、尚且つ扉の建て付けも悪くはなかったんだろうな、と脳裏でブツブツと文句をこぼした。そうしてリンクはやっとの事で扉を開けた。

「…っよし、開いた!」

勢い良くずぶ濡れの足で小屋に踏み込む。服から、肌から、水が滴り落ち埃だらけの床を濡らしていった。
小屋の中は薄暗く、中に在るものはわからないが、とても狭いということだけは分かる。

「なんか埃っぽいね」

「屋根があるんだ。多少の事は我慢しないと」

苦笑しつつずぶ濡れの帽子を取ると、ナビィから放たれる小さな光を頼りに座れそうなスペースを手探りで探していく。

すると足が何かにつまづいた。

「わ!」

前方につんのめって、派手に転けた。同時に隅に置いてあった木箱をひっくり返してしまったようで、辺りは酷い惨状になった。

「リンク、大丈夫!?」


ナビィが慌ててうつ伏せに寝そべったリンクの元へ駆け寄る。当の本人はうう、と呻きながら起き上がった。背中の盾と剣のガチャガチャという重々しい金属音と共に。

「なんだろ、何かに躓いて…」

躓く?とナビィが復唱し、転んだ現場付近を低空飛行で飛び回った。すると薄暗い空間の中で何かを見つけた。

「リンク!」

そのかけ声に導かれて床を這いながらナビィの元へ寄った。ナビィのかすかな光を当てに床に転がっている物陰を目を凝らして見てみる。

「…お、女の子…!?」

あまりのことなので目を見開いて固まってしまった。

その場には年にすると16、17辺りの少女が床に倒れていたのだった。

「リンク見て」

ナビィが少女の顔に近づいた。

「この子、怪我してる」

淡い光に照らされた少女の肌には無数の傷が付いている。顔だけではない。腕や脚にも沢山の傷をつくっていた。

「どうしてこんな…」

リンクが不安そうな声を漏らした。その声に反応するかのように、少女の指先が微かに動いた。

そしてゆっくりと瞼を開く。



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あきゅろす。
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