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NOVEL
猫と貴方

ニャー‥‥


ある日のコト。


僕が屋上で寝てたら猫が迷いこんできた。



「あなた、どこから来たの」


動物に話しかけるなんて馬鹿だ、とは思うケドつい、ヒマさが僕をそうさせる。



「あの人に似てるね、貴方。

それに免じて屋上への侵入を許してあげる」



あの人。


僕の家庭教師とか言う人。



妙に跳ねた毛がアイツを思わせたので、僕は少し上機嫌だ。




ニャー‥


遊んでやると、気持ち良さそうに上を向く。



「あの人もこんなに素直ならなー‥」



つい、唇を緩めながら口走ってしまった。



「あの人って誰?」



振り返ると立っていたのはイタズラな笑顔をしたディーノだった。



「貴方には関係無いよ。」



今の今まで待っていた、なんて恥ずかしいから。


僕は素っ気なく返した。




「たっく、いつもお前はそーだな」



そう言いながら、髪をその大きな掌でグシャグシャにされた。



ホントは嬉しいケド、「気安く触らないで」なんて、つい憎まれ口を叩いてしまう。



ニャー‥



またさっきの猫が鳴く。


「コイツ、恭弥みたいだな、」



今度は猫の髪をグシャグシャにするディーノ。




僕は思わずディーノを抱き締めた。



「わ、どーした?

きょ‥うッ!!」



言い終わる前に僕はディーノの唇を塞いだ。


「‥‥ッ‥ふ‥」



ほとんど呼吸をさせない僕のキスは、彼を苦しくさせていた。




ニャー‥



また猫が鳴く。



しばらくすると屋上を降りて行った。



やっと僕の唇はディーノを解放する。




「ッ‥はッ‥何なんだ、いきなり。」



相当苦しかったのか、さすがの彼も余裕が無かった。



「‥な‥いで」


「は?

なん「僕以外見ないで」



僕の言葉に、彼は目を丸くしていた。





しばらくすると笑いだす。



「アッハハハ‥猫にヤキモチ妬いてたんだ?」



「‥‥」


僕は屋上を降りようとする。




ギュッ‥



彼の細身な腕がそれを阻んだ。




「笑って悪かったって‥


嬉しかっただけだから」



すると僕に優しいキスを落とした。



「‥‥許してあげる」

酷く息が困難な激しいキスも良いけど、


やっぱり彼の優しさが感じられるキスの方が、僕は好きなんだな。


密かにそう思った

ニャー‥

さっきの猫がまた鳴いた。



だけど僕らには聞こえない。


だって、僕らの間にはなんにも入れないんだから。

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