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長編
悪いと思ってる


アッシュはファブレ家に帰ると玄関の扉に付けてもらっている主達お手製の小さな扉をくぐり抜け家の中に入った。



「ニャー。」


今、帰ったぞ。と、短く一声鳴き、玄関からリビングへと続く廊下の段に足をかけようとした。が、何故かアッシュの前足は廊下に着く事なくフワリと重力を無視して宙に浮いた。



首が苦しい‥。



ふと、玄関の鏡が視界に入り鏡を見ると、玄関のタイルから数メートル上に首根っこを捕まれ、片手で持ち上げられている無様な自分の姿と、今朝の事をまた根に持っているであろう怒った顔をした朱の姿が写っていた。


「捕まえたぜ! ア〜ッシュ!」


ヤバい‥これは非常にヤバいぞ‥。

大人しく説教されるのも良いが今は硝子玉を隠すのが先だ。

チキンの腹いせに取り上げられると困る。




「ニ゙ャァー!」


アッシュは体をくねらせ必死に暴れるが朱は離すものかと、掴んだ首根っこに更に力を込める。

クソッ。本当はこんな事したくは無いんだがな‥。
悪く思うなよ。


アッシュは今晩のご飯抜きを覚悟し、心の中で謝ると器用に後ろ足を上に上げ、首根っこを掴んでいる朱の腕めがけて後ろ足で引っ掻いた。


「うぁッ!?」


引っ掻かれ痛みに怯んだのか首根っこを掴んだ手の力が緩んだその隙を尽き朱の腕を後ろ足でもう一掻き。


「いッッてぇー!!!」


2撃目が効いたのか握力が無くなり朱から解放された。と、同時に朱をジャンピング台の変わりのように後ろ足で蹴り上げ、その勢いで前に跳び廊下に着地すると腕を押さえ痛がる朱を無視してそのまま廊下を走って逃げ出した。





悪いとは思っている。
しかし、言った所で言葉が通じねぇから仕方ないだろ?。


言葉が通じないなら大人しくしてるだけ時間の無駄だからな。


♪〃



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