山茶花の別小説
しんでれら☆たいむ *カノラダ注意
深い海の色のような群青の髪が揺れる。
趣味のいいコートに流れる長い髪。
くしゃくしゃとすぐに縺れてしまう自分の髪と違って、滑らかに流れるカノンの髪をラダマンティスはうっとりと眺めた。
聖闘士と冥闘士、つい最近までお互いを好敵手と認めて鎬を削ってきたのだ。
 こんな風に肩を並べて歩ける日が来るとは思わなかった。…ついでに、こんなにも嘗ての好敵手を愛してしまうとは思わなかったけれども。

 ラダマンティスが自嘲気味に低く嗤うと、その声を聞きとがめたのか、カノンが振り返った。
「どうかしたか?」
「い…いや、なんでもない」
 まるで心の声を聞かれてしまったかのように、うろたえるラダマンティスをカノンは怪訝な顔をして見詰めていたけれど、やがてぶっきらぼうな仕草で片手を差し出してきた。
「ぼやぼやするなよ、翼竜が聴いて呆れる」

 冷たい言葉とは裏腹の優しい瞳に、ラダマンティスの心は温かく満ちる。

「ぐずぐずしてたら、折角の誕生日が終わっちまうぞ」
「そ…それは困る」
 シンデレラの魔法が解けて、優しいカノンが消えてなくなってしまわないうちに。
 
 ラダマンティスはカノンの温かい掌に幸福感を噛み締めた



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