山茶花の別小説
ICE EYES  *カノラダ注意
「遅い」
ドアを開けるなりこちらを見たカノンがぼそりと呟いた。
「これでも、精一杯急いだのだ」
「それが俺に何の関係がある」
「関係って…」
 ラダマンティスは思わず口ごもってしまう。

「お前を待つ間、俺が此処で飲みたくも無い酒を飲んでまで時間をつぶしてやったんだ。判っているのか!」
 きつい言葉で言われて、ラダマンテイスは唇を噛んで俯いてしまう。幾ら仕事の折り合いが悪くて、どうしても抜けられなかったと言ってもカノンの知った事ではないだろう。
 芸術としかいえない美貌から冷たい眼差しを向けられる度に心の其処から悲しくなってしまうのだ。

 惚れた弱みなのだと思う。以前の自分ならこの男に真正面から向かってゆけた。好敵手と呼び命を懸けて戦い共に果てたのだ。今はこの男を失うのが怖くてたまらない。この男を知る前の自分はどうやって生きてきたのか不思議なほどだ

「まぁいい、今日はお前の誕生日だからな。特別に許してやるよ」
 顔を上げればそこには悪戯っぽく笑ういつものカノンがいた。
「カノン…」
「Happy Birthday Rhadamannthys]
 
 カノンはにやりと笑うと、ラダマンティスの肩を引き寄せて眉毛にくちずけした。


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あきゅろす。
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