山茶花の夢小説
任命式        その6
 いきなりの必殺技に肝をつぶした私達をよそに、カノンさんは素早く私を後ろ手にかばうと

「アナザー・ディメンション!」

 こちらも技を繰り出したの。…どうやら、あっちの方がオーバー・アクションな分カノンさんの技の方が早かったようでサガさんの姿が光の渦と共にかき消すように見えなくなったわ。

「一体何事じゃ?」
 いつのまにか、私の前には私より少し大きいくらいの東洋人の男性が立っていて、ニコニコ笑っていた。
「さぁ?おれにもさっぱり?…だいたい今帰って来たばかりですし…。あ、土産の魚です」
「痴話ゲンカなら、よそでやれ!よそで!」
「…人を巻き込むのは感心しないな」
「サガをどこへやったんだ!」
「だから!俺は知らんと言っている!…アフロディーテ、ほんの其処までだからすぐに戻ってくるよ。そんなことよりサエラさん怪我はないか?」
 お前ら女性を庇うという気はないのかと私に代わって怒ってくれてる。案外いい人なのかもしれない。

「ううん、私は大丈夫よ。心配してくれてありがとう」
「いや、ウチの兄のことで迷惑をかけてすまない」
 にっこりと笑いかければ、にっこりと笑い返してくれる。やっぱりこのひと、かっこいいわぁ。

 そうこうするうちに、すぐ傍で光の塊が渦を巻き再びサガさんの姿があらわれたの。でも、あれってめちゃくちゃ怒ってない?
「カァァァノォォン!お前という奴は、実の兄を異次元へ叩き込むのか!」
 うわぁ…青紫の髪が渦を巻いてる〜こわいよぉ〜。

「実の弟に、しかも生身の人間にギャラクシアン・エクスプロージョン掛けようとする奴よりましだ。知ってるのか、生身の体でギャラクシアン・エクスプロージョン受けた俺は、生きながら骨の一片も残さずに燃えたわ!ラダマンティスの奴と一緒にな!」
「認めたな!どうせ今日も、あのまゆげ男と乳繰り合っていたのだろう!」

 とんでもない言葉に氷結状態の私たち…独りドヤ顔のサガさん。あまりの事に誰も掛ける言葉が見つからない…。

「いい加減にしろ!俺だって、あいつだってそんなに暇ではないぞ。今日も一日書類にまみれてきたというのに、なんだって必殺技をくらわにゃならんのだ!」
「日ごろの行いが悪いからだ」
「なんだと!」

 そのとき、後ろから私の肩をトントンと軽く指先で叩く人が居たの。
「寮に帰られるのなら、荷物をお持ちするが?」
声も無く頷く私に、疲れた顔をした渋い黒髪の二枚目…シュラさん?が教えてくれた。
「あいつらに拘わると碌な事にならん。あの騒ぎもあいつらにとっちゃあ、ただの前戯なのだからな」
 前戯って、あの…もしかして、あっちの前戯ってこと?
「そうだ。『夫婦喧嘩は犬も食わない』ってあれだ。他人の色事なんかに拘わっても何もいいことなどない…第一、俺やデスのように 早 く 老 け る ぞ」

 早く老ける…私はこの言葉を座右の銘にして必要以上に聖闘士のみなさんには深くかかわるのはよそうと心に決めたのよ。
                              終

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