山茶花の夢小説
任命式        その4
「ですが、シオン。昔ならいざ知らず、今の時代にはテレビと言うものがあるのですよ。他にもいろいろな報道媒体があります。現にあの時はいろいろな取材が殺到して、その中にはカノンをメインにしようとした物もありました。」
「ほう、テレビですか」
 麻呂眉のシオンさまが興味を示したみたい。
「カノンが何を?」
 こちらはサガさん。胃のあたりを辛そうに押さえているわ。
 
「『黄金聖闘士の兄と雑兵の弟。そのめくるめく愛憎は』とかいった題名だったと思うけど、三文メロドラマみたいな内容だったので許可しませんでした。」
 …なんか、ちょっと見てみたいかも。アイドルの男の子達を配役してさぁ。視聴率結構取れそうかも。…さすがに不謹慎ね。

「低俗な連中もいたものですな。…やはり、同じ顔が二つというのが問題なのでしょう」
 ふんふんと独りで頷いてる。
「シオン様、我らは双子。同じ顔が二つあって当たり前なのですが。」
 サガさんがシオン様を悲壮な顔で見詰めてる。でも、この人って双子なのね。こんな綺麗な顔がもう一つあるのか〜。う〜ん…なんかフシギ。

「ふうむ、二つあるから問題なのであれば一つにすればいいこと。…また、昔のようにあやつを幽閉してみるかえ?」
 シオン様がものすっごい流し目をくれながら何気にとんでもない事を言ってるんですけど〜。
「シオン!」
「シオン様!」
 流石に間髪いれずに否定されてた。

「冗談じゃ、本気にするでない。」
 チェシャ猫のようににまっと笑って受け流したけれど、なんか怪しいわよねぇ。
「雑兵がいやなら、アテナ付きの神官として法衣でも着せてお傍に侍らせればよかろう。…これで、この問題は仕舞いじゃ」
 シオン様がパン!と手を叩いて宣言した。

「だいたい、今日は嬢ちゃんの歓迎会じゃからの。おらん奴が悪い。」
 私のほうを見てにっこり。そんな事じゃ騙されませんよ〜だ。私を共犯者にしようったってそうは行きませんからね。あぶないあぶない、油断もすきもありゃしないんだから…。
 
 第一級危険人物はシオン教皇に決定ね。


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あきゅろす。
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